アレルギーに関する研究は進んでいるにも関わらず、まだ特効薬は開発されていません。そのため、多くの企業や研究機関は、アレルギー症状に苦しむ人の症状を和らげたり、発症を抑えたりするためのサービスや製品を研究・開発しています。
株式会社ダスキンの開発研究所もその1つです。ダスキンは掃除用品のレンタル・販売の他、プロによる掃除代行、害虫駆除などを行っていることで有名ですが、それ以外にも空気清浄機のレンタルや宅配クリーニングなど、アレルゲンを減らすためのサービスや製品を数々提供しています。
ダスキンがアレルギー研究に取り組む理由
今や日本人の2人に1人が悩んでいるアレルギー疾患、中でも花粉やハウスダスト、ホコリなどをアレルゲンとするアレルギー性鼻炎、花粉症、喘息などにかかる人の割合は年々増加しています。その理由の1つが、私たちの住環境の変化です。
昔と違って、今の日本の家は高気密で、空調・換気システムが整っています。温度や湿度の変化があまりなく、快適に暮らせる反面、室内を浮遊するハウスダストやホコリ、ペットの毛やフケがアレルギー症状を誘発します。お掃除メーカーの第一人者であるダスキンは、快適で健康な暮らしをサポートするため、ダスキンアレルギーコントロールプラン(DPA)というプロジェクトを立ち上げ、アレルギーの研究を進めています。
ダスキンアレルギー分野の開発研究所・研究実績
DPAプロジェクトでは、掃除やメンテナンスによって、アレルゲンとなるホコリに含まれるダニを除去・低減し、環境アレルギーを改善することを目的に、アレルギー専門医と共同研究しています。
たとえば、小児喘息を患っているお子さんがいるご家庭151世帯を訪問調査してアレルゲンを採取し、その研究結果を活かして、家庭内のハウスダストの量をわずか15分で測定できるダニアルチェッカーを開発しました。アレルゲンを可視化することで、ホコリやダニに対する意識を高めています。
また、DPA研究の成果として、気管支喘息の児童に対して抗原を回避する成果、ダニアレルギー喘息時に対する環境整備に関することなどを論文として発表しました。特に、子供のアレルギーに重点を置いて、研究・開発を行っています。
これから取り組むアレルギー研究
1つは「ペットに影響を与える環境アレルギーを減らす方法の研究」です。ペット、特に犬は、ハウスダストが原因で皮膚疾患を起こすことがあると考えられています。大学と共同で、環境改善が犬の皮膚疾患に及ぼす影響について研究します。
もう1つは「乳幼児の食物アレルギーの研究」です。食物アレルギーと掃除やメンテナンスは一見関係ないように思えますが、キッチンで調理した素材の食物アレルゲンが室内を浮遊するホコリなどに混ざって、室内に広がってしまう可能性があります。そこで、食物アレルゲンの汚染経路を特定し、プロのノウハウにより掃除をした後に、調理台や食物に混入するアレルゲンの量がどのように変化するのかという研究を行います。