国立成育医療研究センター・アレルギーセンターとは?

ライフスタイルや食生活、私たちを取り巻く環境の変化によって、特に1990年代頃からアレルギー疾患を持つ人が急激に増加しています。日本においても、誰もが1つは持っていると言われるアレルギーですから、今やアレルギーの原因や治療法を研究することは国の重要課題といっても差し支えないでしょう。国立成育医療研究センターのアレルギーセンターは、多くの人が苦しむアレルギー疾患を研究して、予防法の発見やアレルギーの原因解明、治療法の確立に尽力している研究所です。

国立成育医療研究センター・アレルギーセンターの概要

国立成育医療研究センターは、内科、外科、精神科など、28の診療科を持つ国立病院です。アレルギーセンターは国立成育医療研究センターの中の1つの機関で、世界アレルギー機構によって、2017年からCenter of Excellence(センターオブエクセレンス)に認定されています。

センターオブエクセレンスとは、専門分野においてトップクラスの人材、ノウハウなどを持つ組織のことで、研究拠点を意味します。つまり、アレルギーセンターは世界的に認められたアレルギーの研究拠点なのです。他の病院では診断が難しかった患者さん、重篤な症状が見られる患者さんに対して、診断、治療を行っています。日本だけでなく、世界におけるアレルギー専門研究の拠点です。そのため、通常の診察、治療だけでなく、研究、人材育成、また国内の拠点病院との情報交換も行っています。

国立成育医療研究センター・アレルギーセンターの診療科

総合アレルギー科・皮膚アレルギー科・消化管アレルギー科・鼻アレルギー科の4つの科、および視機能評価支援室・免疫機能評価支援室・遺伝情報評価支援室・行動機能評価支援室の4つの評価支援室から成ります。これらの合計8つのグループが連携して、診断、研究、治療にあたっています。

これまでの主な研究結果

世界で初となった2014年の「アレルギー疾患の発症予防法」発見は、世界中から注目されました。斎藤博久副研究所所長が指揮し、大矢幸弘生体防御系内科部アレルギー科医長率いるグループがアレルギーの発症を予防する仕組みを解明したのです。新生児期から保湿剤を使用することで、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を誘発しやすいアトピー性皮膚炎を防ぐことができるという研究結果をまとめました。

さらに、2016年には離乳期早期に卵を摂取することで卵アレルギーを予防できることを実証しました。2017年には、妊娠初期に母親がレタスやホウレン草などのアブラナ科の葉物野菜を摂取すると、誕生した子供が2歳までに喘息を発症するリスクを軽減できる可能性があることを発表しています。この研究は、権威ある臨床栄養学関連の国際誌European Journal of Clinical Nutrition誌で発表されています。

これらは研究のほんの一例にすぎません。他にも、世界でも認められている研究成果を数多く発表しています。