小麦アレルギー向けの食品とグルテンフリーの違いとは?

グルテンフリー=小麦アレルギー向けの食事ではありません

 

健康に良いとして注目を集めているグルテンフリーは、もともとはグルテンによる腸疾患「セリアック病」の患者さんのために考案された食事療法です。しかし近年はグルテンフリーの食生活を続けるとダイエットができる、体調が良いなどの理由で、健康な人にも広く普及してきました。

その一方で、小麦を食べるとアレルギー反応を起こす人もいます。小麦アレルギーだからグルテンフリーにすれば安心と思いがちですが、実は小麦アレルギー向けの食品と、グルテンフリーには違いがあります。

 

グルテンフリーと表記されていても、小麦が使われていることがあります

 

食物アレルギーは主にタンパク質に過剰反応を起こすといわれていますが、小麦粉にもいくつかのタンパク質が含まれています。

そのタンパク質は大きく分けて、水に溶けない性質を持つ「グリアジン」と「グルテニン」、そして水に溶ける性質を持つ「アルブミン」と「グロブリン」の4種類です。

グルテンはこれらのタンパク質のうち、「グリアジン」と「グルテニン」から作られます。セリアック病は、小麦粉に含まれるタンパク質のうち、2種類のタンパク質に反応して起こる自己免疫疾患なのです。セリアック病の患者さんがグルテンを含んだ食品を食べると、それに反応して免疫系が働き小腸の表面組織を攻撃します。これによって小腸が炎症を起こし、栄養が吸収ができなくなる病気です。

セリアック病の原因はグルテンですから、グルテンを食事から排除することで、症状を改善させていきます。これがグルテンフリーの食事療法です。

 

小麦が使われているかどうかに着目しましょう

 

小麦アレルギーはグルテンのもととなる「グリアジン」や「グルテニン」だけでなく、それ以外の「アルブミン」や「グロブリン」に反応してアレルギー症状が起こることもあります。

どのタンパク質に反応するかは、人によって異なります。このためグルテンフリー食品だから安心だとは一概にはいえないのです。

欧米でグルテンフリーと認められる食品は、その食品に含まれるグルテンの濃度が200ppm以下のものです。濃度が200ppm以下であれば、「グルテンフリー」と表示をしても構わないとされているのです。

これに対して日本では、グルテンフリーの表示に対する決まりは作られていません。日本の食品表示の基準は、食物アレルギーだからです。日本では、ほんのわずかでも小麦を使用していれば、そのことを必ず記載する必要があります。

グルテンフリーの食品は200ppm以下の少量ではありますが、小麦が含まれている可能性があります。ですから厳密に小麦が含まれていないとはいいきれないのです。

小麦アレルギーで食事に注意が必要な方は、グルテンフリーの表記だけではなく、アレルゲンの表示やコンタミネーション(製造過程で意図せずに混入する可能性があるアレルゲン)において、小麦が使用されていないことを確かめることが大切です。